冷たい世界の温かい者達






ぱかっと長細く、薄い箱を開ける。




全員がガラステーブルに乗せられたそれに目を奪われた。






その中には、案の定由薇の為の浴衣。





だが、驚いたのはそこではなかった。







黒の生地に青で蝶が描かれていて、それを包むかのように赤い花が咲き乱れている。





それを見た由薇は言葉を失ったように固まった。





「由薇ちんっぽくない?」




ニコニコと笑っている衣緒に、とんでもないものを持ってきたら笑ってやろうとしていた気持ちなど吹き飛んで、素直に驚いた。





『……これ、私が着るのか?』



眉を寄せて聞く由薇に、衣緒はにっこりと頷く。






「勿の論だよ。



あ、帯に飾るヤツも千尋のお母さんがくれたからつけよーね?」





……いつの間に連絡とってたんだよ。








「着付けは? してあげようか?」




『いい。 自分で出来る』




浴衣を手に持った由薇は隣の俺の部屋…総長室で着替えることになった。




「僕達はこのままでいいよね?」




ほげーっとしている影助の頭を叩いて起こしながら、衣緒は首を傾げた。





「うん、浴衣着るの面倒だし、暑いしね」




千尋は珍しくパソコンもせずゆったりとコーヒーを飲んでそう言った。





「由薇ちん細いから、タオル巻いた方がよかったかなぁ~?」




「んー…確かにね……でも、いいんじゃない? 案外似合いそうだし」





ケラケラと笑う成一と、真面目に返す千尋も心なしかソワソワしているように見える。




……まぁ、祭りなんて行かなかったしな。





新鮮なんだろう。





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