冷たい世界の温かい者達





車内は異様なくらいソワソワとした雰囲気が溢れていた。






神社に着いても、それは変わらなかった。




『ここか?』



「うん、そう!」



ニコニコと笑っている衣緒が答えて、由薇は食い入る様にその光景を見つめた。






小さな神社と言っても、ちゃんとしているから、どちらかと言えば隠れスポットと考えられる。




正月もここによく来るし。





そんな神社には、ぽつりぽつりと…だけど賑やかにはなる程の人が居た。






『……隠れ神社、だな』



笑った由薇に衣緒も笑って、ぐるりと屋台を見回す。





「朔、どこでも行っていいんだよね?」




「あぁ……」




俺が頷くと、衣緒は手前にあったりんご飴の屋台へと飛びついた。



…子どもかよ。



呆れながらも、買ったりんご飴を由薇にも渡して食べ始める衣緒が本当に子供っぽくて、さすがに言うのはやめた。








『甘いな……』




「ふふ。 美味しいでしょ?」



『ん』





提灯の淡い光に照らされて輝いている様に見える赤いりんご飴は、由薇には珍しかったのかゆっくりと食べていた。





それからも色々と…主に衣緒が買って、手元には沢山の袋がぶら下がっている。






フランクフルト、焼きそば、たこ焼き、焼き鳥……






衣緒が買うものは食いもんばっかりで、買い尽くして満足したのか、成一と射的を始めた。





何故か俺も参加させられて、何個とれるか勝負らしい。




勿論、由薇を除いての全員参加だ。






射的には色々な物があって、面積の広い物から片っ端に打ち倒した。






俺等だけで店が潰れそうなのを見て、由薇は慌てて止めてきたけど。





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