冷たい世界の温かい者達
聞き慣れた声に、その方向を勢いよく見てしまった。
「由薇っお前……っ」
脇腹を押さえて手術室から出てきた由薇に、由咲さんの手を振り払って駆け寄る。
「お前……っ馬鹿‼ 無茶すんな‼」
『してねぇし』
ムッとしたように眉を寄せる由薇に、何だか怒りが薄らいでしまう感じがした。
…いや、ここで引き下がってはダメだ。
「痛ぇなぁ…」
「……ぁ、すみません」
そういえば……俺、由咲さんの手…振り払った。
頬が引き攣ったのを感じたけど、由咲さんは豪快に笑った。
「あぁ、それくらいがいい。」
ーーー大切にしてる奴を、一番優先するくらいが、な。
由咲さんは、俺が支える由薇に向かって手を伸ばしてくしゃくしゃと頭を撫でた。
「お前は、またか」
『うるさい、バカ由咲』
「お兄様、だろ?」
『黙れ変態』
ただ1人の加入だけで、明るく…笑みの絶えない空間が作り出される。
それが不思議だ。
ーーーだけど、
由薇だから、
って理由だけで納得できてしまう俺は、変なのだろうか。