冷たい世界の温かい者達
「うわぁ~イケメン揃い~」
いきなり訪れた客に、俺達は見向きもせずベラベラと喋っていた。
いや、構う必要もねぇし。
「朔さーん、指名~」
……ウソだろ。
「お、いきなし来たか」
俺の肩を叩いた成一はニヤリと笑った。
……本当に、こいつは他人の不幸を喜んで観戦するな。
溜息を吐きながらも、しょうがないことで……
おとなしくイスに座っているだけの人形と化した。
その後は次々に成一やら千尋やら、全員指名された。
だけど、由薇は顔を隠して写真を貼ったからか、指名は無かった。
「きゃあ~この子可愛い~!」
「あ、ホント~! 指名しちゃお!」
「由薇ですか?
由薇~指名だよー」
『……やだ』
「「可愛い~!」」
強烈な女2人が、由薇を指名していた。
まぁ、可愛いのがツボに入ったのか。
俺達には触れてはならない、という規定が作られた上で経営しているので、触ってもいいかと聞かれても断れば何も無い。
「抵抗するのが可愛い!」
「やーん、猫耳付けたい~」
猫耳……
成一がキラキラとした目で由薇を見ているように感じるのは、気のせいか?
はぁ、と吐いた溜息は五月蝿い教室には何も響かなかった。
『……いらっしゃいませ』
「声変わりもまだなのね~」
「ねぇ、触ってもいい?」
「かぁわいい~」
『ぇ、あぁ……』
「ありがとー」
髪の毛やら耳やらほっぺたやら。
触られまくってる由薇の姿が座っている俺からも見えて、思わず笑ってしまった。
『ぉ、お飲物は…』
「じゃぁ~、ドンペリ開けてあげる~!」
……はは。
こいつ等本物のホストクラブ行ったら金貢がされるタイプだ。