冷たい世界の温かい者達
「さっきの通り。 俺は芸能事務所の子どもで、親も忙しかった。
もっとも、親父は俺が生まれてすぐ女と消えたらしいがな。
いつもお袋は俺には金を渡して、秘書に世話させてた。
だから正直…あの人が母親だって言われても何も感じない。
ただ、そうだったなくらいの気持ちしか。
だけど、お袋はちゃんと最後まで俺を遠巻きに面倒見てた。
だから不満もなかった。
だけど…ちょっとした反抗心っつーかさ。
繁華街に千尋と衣緒と共に出るようになって、何か一層荒れた。
朔と影助に会って、みんなで族作って、喧嘩した。
それでも、お袋は何も言わなかった。」
「それはなぜでしょう?」と足すと、由薇はじっと前を向いたままだった目を俺に向けた。
「……愛してなかったからだよ。」
あの冷たい感情をさせるアレが愛なら、
俺は愛なんて信じない。