冷たい世界の温かい者達
「わぁ、校舎小っちゃく見えるなんて、結構僕あの学校に洗脳されてたんだね!」
「洗脳って」
衣緒は目の前の建物に目を輝かせて手を前に翳していた。
『お前等……』
呆れた声を出した由薇は珍しく黒のスーツを着ていて、その華奢でスレンダーな体を際立たせていた。
『今日何でついてきたんだよ』
「そりゃあ。
柚紀に会う為!」
そう。 今日は柚紀の授業参観の日。
最近学校に移ったらしく、友達も出来て楽しく過ごしているらしい。
ちなみに、柚紀の親元になったのは神夜組の組員の一人らしい。
妻も無くして息子とも生き別れした何とも不運な男。 らしい。
由薇なりの配慮だと思うけど、何かそれってすごい歪んだ愛だと感じたのは俺だけではないはずだ。
俺等以外にも沢山の親御さんも居るけど、俺達は完璧に浮いていた。
「由薇ッ‼」
タタッと上履きの音を響かせて走ってきたのはやっぱり柚紀で、由薇も笑顔でその小さな身体を受け止めた。