冷たい世界の温かい者達
カタカタと高速で打たれるキーボードの音が駆り立てるように肩の力を入れさせた。
『……玄巣、ってわかるか?』
由薇は顔を上げて突然声をかけてきた。
「え? あー…大分前から姿眩ませてる族でしょう?
何か関係でもあった?」
『……そいつ等の姫が、あの女教師…沙紀だ。』
「……‼ なら、確実な証拠が…」
『高樹のバイク事故も奴等のチームの1人だ。
そいつを脅して口を割れば証拠になるだろう』
冷酷な微笑みを浮かべて立ち上がった由薇に、やはり“あの”冷蝶なのだと思い知らされた。
冷たい蝶。
その通りの通り名だった。
死ぬ寸前まで殴る蹴るを繰り返す、と。
街の不良には、あの人がいなくなってから今まで以上に厳しくなったと聞いた。
……その通り、だった。