私は彼に愛されているらしい2
「じゃあまあ、ゆっくり探すか。…ところで俺たちのことおじさんたちに話してる?」

「ううん。なんで?」

「一緒に住むなら了解を得ないとダメだろ。」

「ええーっ?子供じゃあるまいし。」

「おじさんたちから見たら有紗は正真正銘の子供だろ。それに結婚の意思も伝えとかないと。」

その言葉を聞いてようやく有紗の手は止まり大輔の方に顔を向けた。

ぶつかった視線に有紗は少しの心地悪さを感じて戸惑う。

「え…?」

「ケジメ、つけないといけないだろ?なあ、いつ挨拶にいく?」

顔だけじゃなく体まで向き直した大輔に有紗 の鼓動は速くなった。

追いつめられるような感覚に手が冷たくなっていくのが分かる。

「え…だってまだ話してもないのに。」

「言えよ。」

「それに、まだ付き合ってそんなに時間経ってないじゃん。恋人期間をもう少し楽しんでもよくない?」

いつもよりも早口で高い声が出たことに有紗は自分でも焦っていた。

しかし目の前の大輔は何かを感じ取ったのか目を丸くして視線を宙に逃がして考える。

どうやら有紗の言葉が胸にストンと落ちたようだった。

「まあ、そうか。」

「…そうだよ。」

「意外だな。有紗って結構あっさりしてるのかと思ってたけど。新発見だ。」

それを意味するところが分からず有紗は表情で疑問符を投げる。

「恋人でいる時間を大事にするなんて思わなかった。可愛いところあるんだな。」

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