私は彼に愛されているらしい2
「凄い、最近 のはこんな風になってるんだ。ひゃー!シャワー付きトイレ!?」

最新物件の内容は充実していてどれも目を見張るような便利さを当然の様に打ち出している。

贅沢じゃないか、でもこんな物件を見てしまったらこれ以下の物に妥協するのは難しくなるのではないかと1人ブツブツ呟きながら忙しく画面内に視線を送る。

そんな有紗の反応を見て大輔は堪え切れず小さく吹きだしてしまった。

「どしたの?」

横を見れば拳を口元に当てて楽しそうにしている大輔がいる。この状況が分からず有紗は首を傾げた。

「いや、喜んでくれて良かったと思ってさ。」

「は?」

「こっちの話。いくつかネットで調べてから回ってみるか。」

「うん、そうだ ね。」

そう言いながら大輔が作業し始めたのをきっかけに有紗はまた洗濯物を畳む場所まで下がっていく。

新しい部屋は何かと便利になりそうで楽しみになってきた、先の楽しみを見つけた有紗は鼻歌を歌い作業を始める。

いいことがあれば作業の速度も上がるから不思議だ。

「仕事は落ち着いたんだろ?」

「今はね。でも基本インターバルだから。それに今回は次のステージまで期間が短いからあんまり余裕ないかも。来週の半ばから少しずつ忙しくなる感じ。」

有紗の言葉にカチカチと聞こえていた大輔の作業音が止まった。

「そうなのか?」

「うん、特殊な時期。」

手元だけを見ながら会話する有紗を見つめ、大輔は考え事をするように 視線を逸らして開いたままの口を閉じる。

そして小さく頷くと短く息を吐いて頭を掻いた。

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