私は彼に愛されているらしい2
「覚悟しとけって言っただろ?」

「…っ信じらんない!」

「有紗の頑固さも信じられないけどな。」

そう言って大輔は屈み有紗の頬に手を伸ばす。

有紗は体を揺らして拒絶を示すものの、真っ赤な顔で大輔を睨み付けた。

「怯えられたら元も子もなかったけど…その反応だと効果あったようだし。ま、結果オーライか。」

「何が結果オーライよ!」

「…ふっ。」

大輔の笑う声が聞こえる。

震える声を絞り出して牙をむく有紗に近付いて大輔はそのままキスをした。

触れるだけの、押し当てるようなソレに有紗の時が止まる。

「…で、合コンの手ごたえは?」

キスされたことに放心状態の有紗は目を見開いたまま固まっていた。

「有紗。よさそうな男は一人もいなかった?」

再び尋ねられた大輔の声でようやく思考が働き始める。

さっきまでのパニックは消え去り、驚きを超えた状態の今では何の感情も見当たらなかった。だから素直に考えて大輔の言葉に答えられたのだ。

「あ…えと、いな…かった。」

「へえ。」

まだまだ近い距離。大輔の手は変わらずに有紗の頬に触れている。

よさそうな男はいなかった、その答えを受けて苦笑いをすると大輔はまた流れるように体を近付けて有紗に口付ける。

まだ放心状態に近い有紗からの抵抗は無い、しかし触れる瞬間に目を閉じたことが分かって大輔は口角を上げた。

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