血魂の彼女[短編]
宇海はフッと笑う。

「殺せば?なんなら心中する?」

宇海がアハハっと笑う。

「ふざけるなよ!」

腕を軽く切りつける。

手に力が入らない。

宇海の腕からツーっと血が垂れる。

「殺せないの、一発刺すだけじゃん」

宇海が殺したやつは宇海とは

関係のない奴ばかり

どうでもいい存在だからこそ殺せた。

宇海だって初めから俺に好意はない。

だから殺せる。俺は殺せない。


宇海のことだって



好きになった存在だから。
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