復讐ストーカーゲーム1
 病室を振り返ることもなく、真っ直ぐに病院の出口を目指した。


煮えたぎる感情。震えるほどの恐れ。死んでしまうかもしれない、殺されるかもしれない……ならば先に、復讐の炎で恐怖感を燃やしてしまおう。


脳裏には固い決意と葛藤の嵐だった。


そして頭に描いている標的は、張飛と絵恋の母親だった。


「あ……もしもし張飛? 久しぶり。今どこにいる? そうか店番か……近くに行く用事があるから、少しだけ話がしたいな――うんそれじゃあ、今から行く」


標的に電話を掛け、待ち合わせを取り付けた。場合によっては、初めて心を通い合えた親友を殺すかも知れない――この手で。


胸を刺すような辛い気持ちを無理やり心の隅へと押し込み、この思いは最初から無かったんだとギュッと瞼を瞑った。
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