幸せの掴み方
「おはよう! エリカ!!」

いつものように、教室に入ると、一番の友人でもあり、ライバルでもある
エリカが私の元に、走って来た。

「菜々美!!~聞いて!! 『リエート』のオーディション!!
 受かった の!!」

「えっ!! ・・・・・おめでとう!! エリカ!!」

『エリカ』が、リエートのオーディションに受かった・・・・・・・

私は、エリカの合格を喜ぶと同時に、エリカを羨ましく思う気持ちが同時に
込み上げてきた・・・・

私とエリカは、同じ学校に通いながらモデルとして仕事をしており、同じように
パリコレのランウェイを目指し、日々お互いを励まし合いながらオーディション
を受けていた。

そのエリカが、私より先に、ランウェイを歩く・・・・・

正直、ショックだったが、エリカには・・・・否、ここにいる人達全員に、
私の気持ちを悟られないよう、私はエリカの合格を喜ぶ友人を演じた。

もちろん、エリカが合格したのは嬉しい・・・でも・・・私は、何で・・・

そんな私を気遣うようにエリカは、

「菜々美! 菜々美も頑張って、必ず同じランウェイを歩こうね!!」

エリカはそう言うと、嬉しそうに言いながら、自分の席に着いた。

その日は、結局エリカの合格の話でクラス中は盛り上がった。

*******************

「ただいま・・・・・・はぁ・・・・・」

私は、学校を出ると、一気に張りつめていた気持ちが途切れ、呆然としながら
家路に着いた。

「お帰り!! どうした、元気ないな!?・・・・」

よりによって、今、一番会いたくない奴に逢うなんて・・・・『最悪』・・・

「えっ・・・そんなことないよ・・・・・」

私は、とにかく今は一人になりたくて、修也の言葉を遮るように部屋に向かって
歩き始めた。

でも・・・・

「痛い!! 修也、手、放してよ!!」

歩き出そうとした私の腕を、修也は掴み、私を引き留めた。
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