World Walker
そんな城下町を通り抜け、紅がりせを案内したのは王宮だった。

女神国は元々歴史の古い国だったので、老朽化も進んでいたが、幾つかの戦を経た今では倍以上の広さになっている。

磨き抜かれた大理石の壁に名の知れた画家の描いた風景画が飾られている。

調度品も、上等なものばかり。

窓にも部屋にも壁にも天井にも、至る所に細やかな装飾が施されている。

ただ居住するには必要あるまい、と言いたくなるほどの手の入れようだ。

「迂闊に触れるなよ。お前のような娘が破損させれば、もう身売りするしかないほどの弁償を請求されるぞ」

壁に掛けられた絵画に見入っていたりせに、紅が声をかけた。

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