あおぞら。
「わたしが、そらの帰る家を守るんだ!!」
視界が大きく揺れ、頬に痺れを感じた。
見上げた母の怒りの表情を見て、ようやく自分がぶたれた事に気がついた。
「いい加減にしなさい!!彼はもう死んだの!!帰ってこないのよ!!そのことに目を背けるんじゃない!!」
違う。帰ってくる。
だって、そらがわたしを置いていくはずがないんだ。
だって…
「あんたの収入じゃここの家賃は払えないの!彼の家族にも迷惑なの!彼の葬式にも出ないで、子供みたいな駄々こねるんじゃない!!」
そらが、
死んだ。
その時、彼がいなくなってから初めて涙を流した。
大粒の涙を、嗚咽を垂れ流しながら
長い時間、子供みたいにわんわん泣いた。