あおぞら。
わたしは実家に帰った。
母は塞ぎ込むわたしに言葉をかけてくれたけれど、耳に入ってこなかった。
そらが死んだ。
その事実だけが脳を支配していた。
そらの死んだこの世界を、呪った。
わたしに残されたのは、彼の遺品と、忘れ形見であるお腹の子ぐらいだ。
母が、そらを亡くしたわたしに言った言葉に、ひとつだけ記憶に残っているものがある。
「その子にはなんの罪もないから堕ろす必要はないわ。産むならお母さんも協力する。
でも葵が彼を亡くした辛さに堪えられないようなら、子育ては難しいと思う。
どうするかはあなたが決めなさい。どちらを選んでも、わたしはあなたを否定しない。受けとめるから。」