あおぞら。



病院から出ると、冬のひんやりとした空気がわたしを包んだ。



おもいきり息を吸い込む。


からっぽになったお腹に、ぱんぱんになるほど詰め込んだ。



この空気を感じることのなかったあの子に届かないか



そんなことを考えたが、意味がないことに気付き


すぐに吐き出した。


白い息がもくもくと立ち上ぼり、すぐに消えた。

跡形もなく、消えた。






冬のそらは、今日も青い。


どこまでも続くそらは透き通るように綺麗で


少し悲しい色をしていた。





< 65 / 65 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

プラスマイナス、
もり子/著

総文字数/60,025

ファンタジー159ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
世界を変えろ。 「会いに来たよ」 この世は数式で出来ている。 「鍵は、ひとつだけ」 “ゼロ”という数字で、世界は保たれている。 「この世界はとても醜い」 世界を変えるのは、とても容易い。 「“ゼロ”を、“プラス”にすればいいのさ」 〔プラスマイナス、〕 君の世界は、どうか 汚れることなく、輝いていますように。
終業チャイム
もり子/著

総文字数/16,446

恋愛(学園)36ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
触れた手は、思っていたよりも大きくて強くて だけどもどこか弱々しくて 決して離したくはなかったのだけれど どうやらあたしには その手は大きすぎたようで。 ‐終業チャイム‐ 「先生、」 愛しさが込み上げる。 許されないのであれば、 どうかこの時間が終わるまでは 小さくて弱いあたしの手に、すがりついたままでいて。 ‐‐‐‐‐ 水野ユーリ様 喜色~きいろ~様 蒼井深可様 。・★愛姫★・。様 素敵なレビューありがとうございます! ‐‐‐‐‐ 4/24~5/1 野いちごオススメ小説として紹介していただきました おかげさまで読者数20名突破!
ハネノネ ‐the world that you saved.‐
もり子/著

総文字数/8,541

ファンタジー19ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
『―――これは、長い時間を独りで過ごす私の、単なる暇つぶしにすぎない。』 私はノートの余ったページに、文章を連ねた。 自分の思いや世界の現状、そして願いを込めて。 いくつ目の冬を越えただろう。 ハネの病でままならなくなった手を、空へ向けて伸ばした。 誰かに届け、と願いながら。 ハ ネ ノ ネ ‐the world that you saved.‐ この世が終わりを告げた後の 誰も知らない、未来の話。 ‐‐‐‐‐ 前作『ハネノネ』の続きになります。 本編をお読み頂いたあとに読まれるのをお勧めいたします。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop