あおぞら。
テーブルに置いてあった中絶申請書を持って病院まで走った。
手術中、思考が麻痺をしていたのか「産まれるはずだったこの命を神様に返すから、どうかそらの命を返してください」と無茶な願いをした。
死んだ人間は決して生き返らない。
生き返る方法を探しても
どれだけ願っても
もう戻れない。
この痛みを抱えながら、みんな生きている。
でも、わたしはまだ子供で
そらと出会ってから、そらのいない世界を知らなくて
この痛みと生きていくなんて到底できそうにない。
都合のいい小説や映画みたいに
もう一度、会えればいいのに。