Fate
「たっだいまー」

っと。

六畳一間、ごく狭のユニットバスとキッチン付きの超ボロアパート。

ここが今の私のお城(笑)。
都会の喧騒から一変、細い路地を曲がり数百メートル。


ケロケロ、ケ〜ロ♪

カエルの歌だって聞こえちゃう。

まるで《ドコでもドア〜》でもくぐったような(笑)。


そんなこの街が私は結構気に入っている。


高校を卒業後、看護学校に進学。
何よりも、田舎娘の夢。都会での一人暮らし!

人生初アルバイトに初合コンに…

初…

私、森山みずほ もうすぐ二十歳。

岩○県の山の中で育った田舎娘は只今、都会の荒波にに揉まれ…
イヤ、呑み込まれそうです。


****

「森山さん!!やる気がないなら帰って良いのよ。義務教育でもないから辞めてもらってもいいわ。」

キツい女教官の一言で、一瞬にして夢から引き戻される。

「すっすみません!」

「謝る必要もないわ。」

逆にキツい。救いようがない事実に気付かされるから。

都会に出たい、遊びたい!ただそれだけの理由でこの看護学校に来た。

何故って…?

すごく貧乏というわけではないけれど、決して裕福ではない家庭で育った私。

大学進学にかかる費用を目の前にしたら「行きたい」とは言えなかった。
それ以前に、これといった目標も無ければ、やる気も根性もない。

しいて言えば…
《都会で学生して一人暮らし》
これが私の夢。


どうしょうかなぁ〜

そんな時、偶然耳にした情報。

《国立系の看護学校は授業料が
タダ!?》

コレだ!!

白衣だって一度は憧れたもの!

上手くいけば玉の輿!?

コレだ!コレしかない!!
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