禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
薄く開いた薄紅の唇が弱々しくその名を呼んだとき。きっと俺は己の罪深さに気付いたのだと思う。
自分が取り返しのつかない事をしていると。
目の前の幼さに似つかわしくない色を浮かべている女は、妹なのだと。
途端に恐ろしくなって…けれどそれ以上に悲しくて、俺は泣いた。
『リヲ』と呼ばれて、自分がこんなにもアンを愛してる事を知った。
兄でいたくない。妹として愛する事も出来ず競い合わなくてはいけない兄など。
けれど。
兄でなくては側にいられない。
この禁じられた恋を知られたら俺はガーディナー家にはきっといられない。
アンも家族も、全てを失う。
「……アン……。…俺は…………」
悲しくて、恐ろしくて。俺はその場にアンを残し逃げ出した。
緑藻の森は禁忌を犯した俺を咎める様にさざめいていた。