禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
その様子をあきれた目で見送るヴィレーネに、リヲが声を掛けた。
「やはり陛下も地下へ隠れられた方が良いのでは…」
けれどヴィレーネはリヲの提案にきっぱりと首を横に振った。
「私はデュークワーズの君主です。皆の誇りである私がどうして雑然たる地下へ逃げられましょう。
私は玉座を離れません。けれど、死にもしません。守りなさい、騎士よ。命に変えても私を」
その凛とした声は部屋中に響き、兵達の耳に届いた。
それはどんな慰めより皆の心に沁み士気を高めた。兵士達の強張っていた表情が決意を込めた凛々しいものに変わる。
リヲは真っ直ぐ正面を見つめ続けるヴィレーネを、そっと横目で見やった。