禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
黒い炎はアンの鎧を微かに掠めただけで空に消えた。
軽い女の身とは云え、隙を突き勢いをつけたサラの体当たりはヨークを一瞬よろめかせた。
その隙を逃がさずアンは白銀の刃を振り切る。
再びヨークのかざしたままだった指が飛んだ。
「ぐっ…!!」
衝撃と痛みに呻いたヨークだったが、膝を付くことはなくその場に踏みとどまった。
その顔が兜の下で鬼神の如くみるみる怒りに歪む。
「邪魔するんじゃねえ!!このアマぁ!!!」
「…サラ!!!」
怒りに任せて降り下ろされた刃はアンでは無く、決死の体当たりからまだ立てないでいるサラへと向かった。
「サラぁっ!!」
自分を守ったサラを救おうと飛んだアンの顔には
―――ザンッ
鈍い音と鮮血が浴びせられた。