禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
ヨークの鬼気迫る剣は着実に二人を追い込んだ。
体勢を立て直そうとしても、他の兵がその隙を与えてくれない。
やがて敵の攻撃を交わし続けているうちに、ミシュラとアンは背を離しそれぞれ壁際へと追い込まれていった。
ミシュラは多勢の剣を交わしながら横目でアンを見る。
ヨークの攻撃を素早く除けながら、やはりアンも段々と追い詰められていた。
最奥の祭壇まで追い詰められて、もう後がない。壁に掛かっている十字のレリーフが虚しくそれを見守っていた。
「相変わらずすばしっこいな。けどよ、そろそろ遊びはお終いだ」
次の瞬間。
アンとミシュラは目を見張った。
アンに向かって突き出された指の足りない左手に、再び黒い炎が渦巻いていたからだ。
「俺は回復が速くてね。全快じゃあねえけど、てめえの腕を焼くだけなら充分だ」
「アン!!!」
叫んでミシュラが飛び出そうとしたが、幾つもの敵の剣にそれは阻まれた。
囲まれたアンに炎からの逃げ場は無い。
歯を食い縛り捨て身で斬りかかる覚悟をしたアンに、ヨークの放った黒い炎が襲い掛かろうとした瞬間。
「アン様ぁっ!!」
祭壇に隠れていたサラが、その体ごとヨークへとぶつかっていった。