禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
―――朝の光が、森の木々をぬって小屋の窓に射し込む。
瞼を掠めるその眩しさに、アンは眠りから目覚め、そっと瞳を開いた。
「…………リヲ…………?」
ベッドに微かな温もりはあるものの、その姿はどこにも見当たらなかった。
一糸纏わぬままの姿で身を起こし、アンは必死にリヲの名を呼びかける。
「リヲ…?どこ?ねえ…リヲ…!」
けれど虚しくもその声に応える者は居ず、森の鮮烈な静寂だけが小屋を包んでいる。
全ての部屋を探しても彼を見つけることの出来なかったアンは、微かに彼の香りが残るベッドに顔を伏せて泣いた。
「リヲ…!リヲ…!!」
命の灯火をアンに預け、夜の髪を持つ男は朝陽と共に――消えた。