スイートペットライフ
「おお、大倉さん!ベッドがあの!」

「オミ君!!!」

しかめっ面て訂正させられる。焦りすぎていつもは気をつけている呼び方さえも間違える。

「あの、オミ君ベッドが並んでいますけど……」

「ん?大きいベッド一つが本当はいいんだけど、ツインしかないんだって。今日こそミィを抱きしめて眠れると思ったのに、残念……」

心底残念そうなところ申し訳ないが、それは絶対あり得ないから。

これ以上言うと、「ベッドくっつけちゃう?」とか「狭いベッドで密着するのもありかも」とか言い出しかねない。ううう……。ここは譲らないとだめか。

気を取り直して、お部屋探索を始めが、さらなる衝撃が私を襲う。

ベッドばかりを気にして、これに気が付かないとは……。

近くに来て確認するけど間違いない。

ろ・て・ん・ぶ・ろ

確かに女将さんが言っていた。

はい、これ間違いなく「一緒に入ろうよ~」「嫌です!」で一時間はかかるコースだ。

すぐに脳内で対策会議を始める。

溜息を一つついて、振り返るとすぐそこに大倉さんが立っていた。

「良い眺めの露天風呂でしょ」

「ヒッ!」

まだ脳内会議終了してないのに、すでに戦いが始まったー!

「さぁ、一緒に入るよ!」

「いや、まだ女将さんが入れてくれたお茶も飲んでないし……」

「飲んだよ~ミィの分も飲んであげた」

ニコニコの大倉さん。

「私ちょっと疲れたから休憩してから後で……」

「疲れたの!?それは大変!早くお風呂でリラックスしないと」

そう言いながら、私の服を脱がしにかかる。

「ちょーーーと待ったーー!」

あまりの私の抵抗に目を細めて抗議する大倉さん。

「分かりました!分かったからそんな顔しないでください!!!」

私は観念して、心を決めた。

< 133 / 249 >

この作品をシェア

pagetop