スイートペットライフ
***

――ちゃぷん

露天風呂に水温が響く。

「はぁ~癒されますね~ね!オミ君」

なんとも言えない良い温度の温泉はやっぱり最高だ!

「ゔう……ミィはいつからこんな“とんち”がはたらくようになったんだ?」

念願の混浴を果たすものの不満顔の大倉さん。

こんな顔初めて見たかも。

私達二人は並んでお風呂に入っている。

――足だけ。

大倉さんと私の案の折衷案ということで『足湯』を提案して何とか納得してもらった。

足湯だって立派な混浴だ。たぶん。

少々不満げな大倉さんだったが、湯船に二人並んで外の景色を見る。

さっきまで日の光が燦々と降り注いでいた竹林。今は赤い夕陽が竹と竹の間から見える。

「綺麗だね、ミィ」

「綺麗ですね」

日常を忘れてただ景色を眺めた。

後ろについていた手に隣の大倉さんの指が重なる。

少しずらすと、それを追ってくるかのようにまた指が触れる。

気になってもう一度触れ合っていた指を離そうとすると、ギュッと握られた。
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