スイートペットライフ
15. 飼い主家出する
部屋の外から音が完全に聞こえなくなってから、私はベッドから重い身体を持ちあげて、シャワーに向かった。

言いたいことははっきり言ったのに、どうしてここまで気持ちが沈んでいるんだろう。

間違ったことは言ってない。言ったことも後悔しているわけではないけれど、私が大倉さんにあんな悲しそうな表情をさせたのかと思うと心が重く重く沈んでいき、それに伴い身体もなんだかけだるく動くのが億劫だ。

心も身体もクリアにしたくてシャワーを浴びたが、そんな簡単なことで状況が変わるわけでもなく、ドライヤーさえ面倒な私は半乾きの髪のままベッドにもぐりこんだ。


何度も寝返りを繰り返していると、スマホのアラームが鳴り響いた。

――もう起きる時間か。

浅い眠りと寝返りを繰り返していた私は重い身体を引きずるようにしてベッドから出る。

いつもだと、リビングにはキッチンからの良い匂いが充満している。今日もそのはずだった。

だけど――今日のリビングは何の気配もなかった。ただわずかながらに漂う匂いはいつもの朝と同じ。

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