スイートペットライフ
「んーペットショップとかであるでしょ?絶対この子って」

「はぁ、まぁ」

「それが、僕にとってはミィだったんだよ。それだけ」

「そうですか…、って納得できません!」

ついつい声が大きくなる。

「ミィ元気だね~」なんて呑気にワイングラスを傾けている。

「そもそも、私大倉さんにお会いしたことありましたか?」

「オ・ミ・く・ん」

一文字ずつ区切って訂正させられる。

「あの、私オミ君と会ったことありますか?」

仕方なしに呼び方を訂正して再度質問する。

「さてどうでしょう~一つだけ言えることは、絶対ミィじゃないとダメだったってことかな」

そういって、私のグラスにワインを注いだ。

「もう一回乾杯しよう」

すごく上機嫌にグラスを掲げる私の飼い主。

「何に乾杯するんですか?」

「僕たちの明るい明日に」

その明るい明日、私には一生来なさそうです。

グラスをカチンと合わせながら、心の中でそうつぶやいた。
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