スイートペットライフ
「そう。じゃぁ持ってきてもらおう」

そしてウェイターが杏仁豆腐を持ってくると、その杏仁豆腐は私の前を通過して、大倉さんの前に置かれた。

肩すかしというかお預けを食らった私は、思わずじっと杏仁豆腐を見つめ、大倉さんに早くと無言の催促をかけていた。

「ちょっと待ってね、はい。あ~ん」

そう言って杏仁豆腐をスプーンですくって私の口元に持ってくる。

ぎょっとした私は

「あの自分で食べられますから、それこっちに下さい」

「ダーメ」

そいって杏仁豆腐もスプーンも遠ざけられてしまう。

「早く口あけないと僕が全部食べちゃうよ」

そう言って食べようとする。

その杏仁豆腐はマンゴーの果肉入りのソースがかかって、きらきらと輝いている。

その誘惑と‘あ~ん’の羞恥の間で揺れ動く私。

杏仁豆腐がその時「食べて」と言った気がした。私は覚悟をきめて

「あ~ん?」

恥を忍び目をつぶったまま口を大きくあけた。

「ぁあ、可愛い。はいどーぞ」

そう言って大倉さんは私の口に杏仁豆腐を運んでくれた。
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