最愛~あなただけが~
 昨夜は、全てにおいて全然集中できなかった。


 佳の腕の中にいる間も、佳が自分のアパートに帰ってからも。


 履歴書、何枚書き直しただろう?

 朝食の目玉焼きを焦がし、
 スープをひっくり返し、
 食器を洗いながらお皿を2枚も割ってしまった。



 こんなの、私らしくない。



 今だって、ブラウスのボタンを子どもみたいに掛け違えて、危うくパンツスーツのファスナーも全開したまま家を出るところだった。

 ずっと、『タカノ』さんの声が頭から離れなくて。
 あの穏やかな、心地良く響く低い声を思い出すだけで私の心臓は有り得ないほど高鳴った。


(どんなひとなんだろう・・・)


 早く会いたい。


 面接に行くと言うより、お見合いにでも行くような気分だ。
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