最愛~あなただけが~
「ん。」

 いきなり目の前に差し出された、鷹野さんの大きな掌。

「?」

 私は、鷹野さんを見上げる。

「鍵。
 さっき返したろ?」

「あ・・・はい。」

「オレがまた夕方もここに来ていいなら、その鍵、貸して?」


(・・・え。)


 鷹野さんの言葉に私は、鍵と鷹野さんを交互に見つめる。



 この鍵を渡さなければ、鷹野さんはもうここへは来ない。
 鷹野さんはもう・・・・・



 だけど。


 鷹野さんと、一緒にいたい・・・・・


「・・・・・・」

 私は、無言で鷹野さんの掌に鍵を置いた。


「・・・良かった。」


 鷹野さんは、大きく安堵の溜め息をつく。

「都築さんが葛藤に勝利したらどうしようかと思ってた。」


 鷹野さんは、切れ長の瞳がなくなるくらい、小さな子どもみたいに顔をくしゃくしゃにして笑った。


 私は、鷹野さんのこの笑顔と実年齢のギャップに弱い。
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