片想連鎖 ~伝えたい心~

ナオの苦し気な声に、私は胸を締め付けられた…。

別れてからも、こんなにナオを傷付けている自分が許せなかったんだ…。


私は、どうすればいい?
気にしてないフリ?
元気なフリをすればいい?

ナオの為なら…
何でもするから…


私はナオの方に体ごと向けて、笑顔を作ろうとしたんだ。

でも…固まってしまったかの様に、口角は上がらない。

ナオは、私が見ている事に気付いたのか、顔を上げて私を見つめる。

その瞬間、私は”汚れた自分”を見られているんだという恐怖感を感じて…

また、俯いた…。


「明奈。」


「わ…私は…。汚れてるから、…見ないで。」


「明奈っ。俺を見てっ。」


「……ナオ。どうしたら…綺麗になる?」


「明奈は、汚れてなんかないっ。何があったとしても、明奈は明奈だ。」


「……で…もっ。」


私が声を震わせながらそう言った後、ナオが、私を暗闇から救い出してくれるかの様な言葉を口にしたんだ…。


「俺は、今も明奈が好きなんだっ。その明奈を、明奈自身が嫌わないでくれっっ。」




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