片想連鎖 ~伝えたい心~
「……えっ?」
と、私が戸惑っていると、ナオは、
『明奈は、目を閉じて。手を伸ばせば俺の手に届くから…。大丈夫。俺は、何もしないよ。』
と、そう言った。
私は、ナオが言った通りに目を閉じ、そっと両手を伸ばす。
ナオの手に触れた瞬間、私の胸は切なさでいっぱいになったんだ…
ナオと付き合っていた頃の、不可解な気持ちに似ていた…
もっと、ナオに触れたい
もっと、ナオに近付きたい
もっと、私の知らないナオを知りたい…
私がその想いを巡らせていると、ナオは私に囁いたんだ…。
「俺の手に”誰”がいるか、分かる?明奈。」
ナオにそう言われて、私は、ナオの左手を両手で探った…
中学の頃とは違う、大きな手…
ゴツゴツと骨ばった指…
「あっ…」
私は、そのナオの左手の中に…
”誰”かを見つけたんだ…