片想連鎖 ~伝えたい心~

私は、男の子がくれたルーズリーフを”宝物”かの様に、ギュっと両手で握りしめ、女子トイレの一番奥の個室に入った。

私の手は、悴んでいるかの様に上手く動かなくて、指先が微かに震えていた。

どうにかルーズリーフを開く事が出来て、そこに書かれている内容を一字一句残さず読んだ。


読み終えた私の心臓は、ドキドキドキドキと煩くて…
頬は赤みをさし、目にはうっすら涙を浮かべて『はぁ…』と溜め息をついた。
そして、開かれたままのルーズリーフを、
胸にギュッと押し付けた…




――― ピピピピ、ピピピピ…




携帯のアラームが鳴り、私はそこで目を覚ました。
夢から覚めたのに、私の心臓は早鐘を打っている…。

ベッドから立ち上がり、近くにある机の引き出しを引き、数冊のノートの一番下にあるクリアファイルを手に取った。



クリアファイルの中にあったのは、
幾つもの折り目がついた、
1枚のルーズリーフ。



それを一度胸に抱き締めた後、
そっと元の場所に戻して引き出しを閉めた…




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