片想連鎖 ~伝えたい心~
確かに俺らしくないな、コレは…
俺がそう思っていると、結衣は声を震わせながら話し出した。
「…あんなの、か…海斗じゃないよ。海斗は気付いてないかも…だけど。た…楽しそうに笑ってるつもりだった…かもしれないけど…」
『海斗は、いつも悲しそうな…顔してた…』
そう付け加えて言った結衣の言葉に、俺は言葉を詰まらせた…
誰にも気付かれないと思っていたんだ。
奥底にいる”俺自身”でさえ、誤魔化せていると…
それなのに、結衣は…
「はぁー…。気付いてたんだな…」
「あっ…当たり前じゃん!何年、幼馴染みやってると思ってんのよ!」
「ハハっ…。十何年の付き合いって、怖ぇー。」
「怖いって、失礼なっ!!」
そう言って口を尖らせて怒った結衣は、
『でも…』
と続けて、また話し出した。
「藤原さんに、…酷い事言っちゃった。藤原さんは、何も悪くないのに…。」
「…ああ。」
「海斗にも、余計な事をしたのは分かってるし、…反省もしてる。」
「……」
『けど…』
と言った後、結衣は少し間をおいて、こう言ったんだ。
「後悔はしてない。私は、藤原さんより海斗の方が、大事だから…。」