片想連鎖 ~伝えたい心~

結衣が、どういう意味でそう言ったのかは分からない。
というか、その時の俺にはそんな事を考えていられる余裕すらなくて…


「…ありがとな。…結衣、もう家に帰れ。俺も、もう部屋に行くから…。」


そう言って俺は、踵を返して家に入っていった。

自室に戻ると、明奈に渡すはずだった参考書を机に放り投げ、ベッドに仰向けになりながら寝転んだ。


明日、明奈に、
『昨日の事は結衣の悪い冗談だから』
って会いに行こうか…


とか、考えてる俺は相当【イタイ奴】なんだろう。


「無理だわな…」


そう呟きながら瞼を閉じてみれば、数時間前に目にしていた明奈の笑顔が見えた。


「あの笑顔に惚れたんだ…」


と、俺は明奈と出会った時の事を、走馬灯の様に思い出していた…


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