無垢・Age17
田舎での就活
 私は東京より戻った日より積極的に学校の進路提示板に記載されている企業へと足を運んだ。

先生方もやる気になった私の味方に付いてくれて、積極的にアドレスなどしてくれていた。


それでも田舎での就職活動は難航した。
地元に唯一あった大型自動車工場が閉鎖に追い込まれて以来、其処に頼ってきた企業が大打撃を受けたせいもあった。

今までに入社試験を受けた全ての企業から不合格の通知が来て、私だけではなく進路担当の先生まで頭を抱える事態に陥ったのだ。




 最後の手段として、生き残った僅かな会社を学校を通して斡旋して貰った。
でも、もう既に終わらせている所ばかりだった。

オマケに私は出来れば母を養いたいと思っている。

感心だとか言われたくてやっている訳じゃない。
今まで苦労してきた母に感謝したいだけなのだ。

母は働き者だった。
その上、とびっきり優しい人だった。

何を頼まれても、決してイヤな表情は見せない人だった。

だから祖母は母を手放さなかったのだ。




 母はまだ若い。
でも疲れ切っているように見える。

母は祖母の介護に追われた。
働きながら、ずっと一人で看てきた。


長男の嫁だったのだから当たり前だと、誰も手を貸してはくれなかった。

何でもかんでも母に押し付け、それでも口答えしない母を平気でこき使った。




 私は田舎が好きだ。
本当は此処で静かに暮らせればいいと思っていた。

でも母に、親戚のことで苦労をさせたくないと思うようになっていた。

だから、東京での就職を視野に入れていたのだ。




 そんな高卒予定女子に、高い給料を払ってくれる会社なんてあるはずないのだ。


家から通う。
そんな当たり前の生活をしたいだけなのに……


「やはり東京かな?」
私はしみじみと母に向かって呟いた。


隣の県も今までは裕福だった。
それは家電工場の恩恵によるものだった。
だけど今は操業停止の状態だ。

テレビが売れなくなって久しい。
携帯もスマホに移行している。
やはりガラケーは競争に弱いのだろうか?


ガラケーとはガラパゴス携帯の略だ。

指紋認識機能など日本独特に進化してきたので、ガラパゴス諸島にいる珍獣達になぞらえたのだ。




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