坂口美里とガルダスト
「あの・・・私・・・。」
テーブルマナーとか、色々知らないのですが。と言おうとして・・・。
「テーブルマナーが心配?」
カオリが先読みしたので、全力で頭を縦にふる。
「気にすることないのよ。食事は楽しむところなんだから・・・。マナーなんて気にしなくても・・・それより、アナタの世界の話を聞かせてちょうだい。」
机にひじをつけて笑顔を向けるカオリ。
兄貴ならば、絶対にやらないような仕草だったため、思わず噴出しそうになってしまう。
「わ、私の世界ですか・・・?」
それでも、必死にこらえながら声を押し殺す。
「そう、きっと私の世界とは違って、夢と魔法が溢れる世界なんだろうな~。ペガサスとか龍とかが、世界を飛び交っていて・・・」
えぇ、最初、私もこの世界に来たときはそう思っていましたよ・・・。
「いえ、まったくこちらの世界と一緒ですよ。道はアスファルトだし、自動車は走っているし、飛行機は空を飛ぶし、戦車と戦闘機は戦争するし・・・。」
とりあえず、正直に言ってみる。
「え・・・そうなの?そういえば、異世界人だって言うのに、言葉は通じるものね・・・。」
キョトンとしたカオリの表情。
そりゃ、異世界がまったく自分とまったく同じ世界とは、拍子抜けもいいところだ。
「あぁ、でも私たちの世界には鉄人機はないんです・・・。あと、1つ気になるのですが、さっきから何度か聞いている第5階級ってなんですか?」
アルマーニスーツが言っていた。
そういえば、カオリもさっき口にしていた。
「もしかして、あなたたちの世界にはないの?階級制度。」
「ないですよ。」
「だったら、どうやって貴族と庶民を区別するの?」
「そんな区別ないですよ。庶民と貴族なんて・・・。」
そりゃ確かに、セレブと庶民には比べられない壁はあるけど、一応、今の日本は平等社会だ。