センセイ
いわく、カッコイイ。

いわく、きれいな顔。

いわく、背が高い。



結論。


あんまり先生っぽくなくてカッコイイ。





体育館での挨拶以来、2年3組の担任に対する人気の上昇っぷりはそりゃもう見事なもので、あたしのテンションはこれ以上ないぐらい下降している。



「……どこがいいのか全然わかんない」



思わず呟くと、あたしの前の席に座っている野村由里が振り向いた。



「なにが?」


ひとりごとのつもりだったのに、聞こえてたなんて最悪だ。



「川瀬のこと」



どうせまた「なんで」攻撃がはじまるんだろうな。



あたしは机の上に頬づえをついて、そっぽを向いた。



窓の外では、次の授業が体育らしいジャージ姿の女の子たちが校庭に集まり出していた。



まるで、馬鹿みたいにのどかな光景。




「えー、なんで?」


ほら、やっぱり。


「川瀬のことがきらいなんて言ってるの、ミクぐらいだよ」


ほかの人たちから何度もくり返し言われた言葉を由里は呟く。


窓の方に頭を向けたままチラッとだけ由里の方に視線をやると、これ以上ないぐらい不満そうな顔をしていた。



最初はちょっとこっちを向いただけの格好だったのに、今や由里はあたしの机に身を乗り出して臨戦態勢に入ってる。




「ていうか、ミクの場合は男嫌いだからきらいなだけなんじゃないの」



正直もう、返事をするのも面倒だった。



「そーそー、男がきらいだから川瀬がだいっきらいなのー」




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