ロング・ディスタンス
「つかぬことを訊くけど、栞さんっていくつ?」
美加子がたずねる。
「今年で28歳です」
「あら、いいお年頃ね。じゃあ、長濱先生とも結婚を視野に入れたお付き合いをしないとね」
「あの、先生とはまだ始まったばかりなのでそこまでは考えていないんですけど、いいお付き合いを続けていければいいなって思ってます」
太一が過去のある自分と結婚まで考えてくれるかどうかはわからない。今はただ「彼氏彼女」の関係になれるだけで幸せだ。
「しっかり先生のことつかんどかないとダメよぉ。さっきも旦那が言ってたでしょ。島の女たちが彼のことを狙ってるってさ。先生の住んでるアパートの大家さんに娘がいるんだけど、その子なんてしょっちゅう先生の所に差し入れを持ってくるのよ。島の食堂で働いているから、独身男にお惣菜の差し入れ攻撃をしてるのよ。ああ、本土にいると距離がもどかしいわね」
「そうなんですか。でも、私は長濱先生のことを信じています。本当はもっと頻繁に会いにきたいですけど、彼の仕事のことを考えると貴重な時間を割いてもらうのも気が引けるんです。だから月に1回来られればいいかなって思います」
「あなたの健気な気持ちはすばらしいけど、くれぐれも油断は禁物よ。私も島の女だからわかるんだけど、ここの女は情熱的なのよ。私だって、旦那を本土にいるエリート女医の元カノから奪ったんだから。あなたみたいな美人の彼女がいても、中には肉弾戦を仕掛けてくる女だっているわよ」
「肉弾戦!?」
栞は包丁を持つ手を止め、美加子の顔を見る。
美加子がたずねる。
「今年で28歳です」
「あら、いいお年頃ね。じゃあ、長濱先生とも結婚を視野に入れたお付き合いをしないとね」
「あの、先生とはまだ始まったばかりなのでそこまでは考えていないんですけど、いいお付き合いを続けていければいいなって思ってます」
太一が過去のある自分と結婚まで考えてくれるかどうかはわからない。今はただ「彼氏彼女」の関係になれるだけで幸せだ。
「しっかり先生のことつかんどかないとダメよぉ。さっきも旦那が言ってたでしょ。島の女たちが彼のことを狙ってるってさ。先生の住んでるアパートの大家さんに娘がいるんだけど、その子なんてしょっちゅう先生の所に差し入れを持ってくるのよ。島の食堂で働いているから、独身男にお惣菜の差し入れ攻撃をしてるのよ。ああ、本土にいると距離がもどかしいわね」
「そうなんですか。でも、私は長濱先生のことを信じています。本当はもっと頻繁に会いにきたいですけど、彼の仕事のことを考えると貴重な時間を割いてもらうのも気が引けるんです。だから月に1回来られればいいかなって思います」
「あなたの健気な気持ちはすばらしいけど、くれぐれも油断は禁物よ。私も島の女だからわかるんだけど、ここの女は情熱的なのよ。私だって、旦那を本土にいるエリート女医の元カノから奪ったんだから。あなたみたいな美人の彼女がいても、中には肉弾戦を仕掛けてくる女だっているわよ」
「肉弾戦!?」
栞は包丁を持つ手を止め、美加子の顔を見る。