ロング・ディスタンス
 翌週。栞は三回目の船旅に出た。
 その日はあいにくの雨だった。
 時化のせいでいつもより船が揺れている。栞は気分が悪くなった。
 航行する時間もいつもより長くかかっている。早く目的地に着いてほしい気持ちが高まる。

 やっと船が桟橋に着くと、島にも雨が降っていた。
 そこでは、太一が傘を差して待っていてくれた。
 栞の顔を見るなり、彼の顔がパッと輝く。明らかに今までとは違う表情を見せられ、栞もうれしくなる。
 彼は自分の傘の中に彼女を入れ、駐車場まで歩く。
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