ロング・ディスタンス
給仕が飲み物を運んできた。栞は和食には合わないけれど、オレンジのスプリツァーを注文していた。
長濱が長い腕を伸ばして、順番に4つのグラスを受け取り、それぞれを頼んだ人の所へ振り分ける。
「あ、しまった!」
彼が声を上げた瞬間、栞は自分の目の前に置かれたグラスが倒れ、まだ口を付けていないオレンジスプリツァーがこぼれるのを感じた。長濱が指を滑らせたのだ。
橙色のシミがレース素材のスカートに広がっている。
「すみません!」
長濱は勢いよく立ち上がると店員をつかまえ、数本のおしぼりを持ってこさせた。彼は明らかに狼狽している。彼は栞に何度も謝った。
「大丈夫ですから」
栞はおしぼりでスカートをとんとんとたたきながら、応急措置をする。隣に座っている泉がテーブルにこぼれた液体を拭いてくれる。
その向かいでは、細谷が苦い顔をしてその様子を見ていた。せっかく設定した食事会で、こともあろうに同僚は相手の女の子に酒をぶちまけてしまうとは。見ている細谷の方が気まずい気分になりそうだ。長濱は気さくで仕事熱心な男なのに、どうしてここぞという時に弱いのだろうかと思った。
長濱が長い腕を伸ばして、順番に4つのグラスを受け取り、それぞれを頼んだ人の所へ振り分ける。
「あ、しまった!」
彼が声を上げた瞬間、栞は自分の目の前に置かれたグラスが倒れ、まだ口を付けていないオレンジスプリツァーがこぼれるのを感じた。長濱が指を滑らせたのだ。
橙色のシミがレース素材のスカートに広がっている。
「すみません!」
長濱は勢いよく立ち上がると店員をつかまえ、数本のおしぼりを持ってこさせた。彼は明らかに狼狽している。彼は栞に何度も謝った。
「大丈夫ですから」
栞はおしぼりでスカートをとんとんとたたきながら、応急措置をする。隣に座っている泉がテーブルにこぼれた液体を拭いてくれる。
その向かいでは、細谷が苦い顔をしてその様子を見ていた。せっかく設定した食事会で、こともあろうに同僚は相手の女の子に酒をぶちまけてしまうとは。見ている細谷の方が気まずい気分になりそうだ。長濱は気さくで仕事熱心な男なのに、どうしてここぞという時に弱いのだろうかと思った。