ロング・ディスタンス
 会計を済ませた後、長濱がクリーニング代を出させてほしいと言ってきたが、栞は家でスカートは洗える素材だから大丈夫だと言って断った。
 アパートの近くまで送りたいという彼の申し出を断り、栞は一人で帰路についた。電車に乗っている時も、太ももにスカートの湿った感触を感じた。

 まったくとんだ食事会だった。それでも、神坂に会うよりはマシな時間の過ごし方だったのかもしれない。もし今夜一人でアパートにいたら、彼に会いたい衝動に負けて、いつものシティホテルに行ってしまったかもしれなかったのだから。
 さて、神坂は来週こそ栞に会うつもりでいるが、今度はどうやり過ごそうかと彼女は思った。
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