鬼神姫(仮)
「まあ、何鬼でもいいけどさ」
そんなことは自分には関係ない。知ったとして、それがどんなものか判りようもないのだから。
「知羽は、番人についてどう考えてるんだ?」
銀の質問に、知羽は眉を寄せた。何を思う表情なのか。
「別に、今の番人には何も。集まるのが定めなら、そうなんじゃないの?」
知羽の答えはやはり答えであって、そうではない。単に、銀には理解出来ないだけなのか。それとも、知羽がはぐらかしているのか。
部屋の中は乏しい灯りに照らされていて、昼日中の明るさとは違う。
「鬼神姫が死ぬとどうなるんだ?」
口をついて出るのは質問ばかり。知りたいという欲求が芽生え始めたのだ。折角決めていた心が揺らいでいる証拠に他ならない。
「……それを聞いたとして、どうするの? 事情が事情なら、同情でもして、手助けでもするつもり?」
知羽の発言に返す言葉はなかった。確かに、聞いたとしてどうするというのだろう。それで、自分の気持ちが変わるとでもいうのだろうか。