鬼神姫(仮)
「後程、白瀬様には今後のことをお伺いに参ります」
緋川はちらり、と銀を横目で見やりながら言った。
──龍様。
呟く声が脳に響く。一体、誰を呼んでいるというのか。一体、龍とは誰のことなのか。
雪弥は並んだ番人達を見た。
緋川以外はただの人間だ。先祖から引き継いだ力があるとはいえ、その事実は変わらない。なのに何故、鬼を護ると言えるのか。疑問ばかりが浮かぶ。
雪弥は目を伏せて、解散を、とだけ告げた。帯をきつく締められたのか、息が苦しい。そして、背中が疼く。出来れば横になりたい。そう思いながら近寄ってきた緋川の手を取った。
それを銀が見ていた気がしたが、その視線の意味には全く気付かなかった。