鬼神姫(仮)
ーー番人などやるつもりは微塵もない。
此処まで来てその言葉が通用するのか。それだけが不安だった。
解っている。これが子供が駄々を捏ねるようなものだということは。それでも番人になどなりたくなかった。
否、正確に言えば、生まれたときから番人という立場なのだ。それを全うしたいとは思ったことはなかった。
何時も心の中で否定していた。
親もそれで構わないと言っていた。
番人の務めなどを果たす日は来ないのだと。
それなのに、十年前、事態は変わった。だがそれが銀に伝えられたのはほんの少し前。それも一週間前のことだった。
抗うつもりでいた。従うつもりなどなかった。
でも、あっさりと此処に連れてこられた。連れてこられたのではない。選択肢を奪われたのだ。
それは隣に並ぶ陽も同じことなのかもしれないが、銀のとは異なっていた。
陽の場合は従わざるを得ないのだ。それだとしても、自分はそれに協力などしたくなかった。
自分は総てを奪われたのだから。
そこに従う理由など何も存在しないのだから。