鬼神姫(仮)



「七海は本国の鬼に、東洋の鬼の血が混じっています」

鬼と言われれば納得の美貌。

七海は一切口を開かずにただ、巴の後ろにいた。

「東洋の鬼の……ですか」

それに緋川が苦い顔をする。東洋の鬼なるものを雪弥は知らなかった。目にしたこともない。

そうなると、彼は純粋な鬼ではないということになるのか。だから、白瀬もその存在を知らなかったのか。

「ですが、雪弥姫のお役に立てることは間違いございません」

巴は確りと雪弥をその瞳に捉えながら言った。

何故、巴は番人の末裔だというのに力を持たないのか。稀に、そういった者も生まれるのか。

ーー自分は鬼神姫だというのに、何も知らない。

雪弥はそのことに小さく息を吐いた。それを巴は何か勘違いしたらしく、血相を変えた。

「あ……あの、やっぱり駄目でしょうか?」

巴は声色まで変えて慌てふためいている。

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