ヘビロテ躁鬱女
 私はタイムカードを押し、厨房に挨拶をした。原口料理長は優しい笑顔で出迎えてくれる。


「おはよう狂子。昨日は、みんなで歓迎会だったそうじゃないか。おじいちゃんもたまには呼んでくれよ」


「おはようございます! なにを言っているんですか! そんな歳じゃないですよーもう」


穏やかな瞳。温和な表情……私は原口調理長と話していると落ち着いた。


父と同じくらいの歳なのに、只単に冷徹な父とは比べられないくらいの人柄だった。


店がオープンすると仕込みを手伝っている奥様方は帰る。その奥様達も料理長とは笑い、笑顔がこぼれ楽しそうだった。


そして横溝輝……厨房の中では一番若い日本人の男。すっかりおば様方にもてはやされ、浮かれていた。


「狂子。昨日は無事に帰れたか? 新庄には彼女が居るし安心してお前を預けたけど、男だしどうだかな。酒はぬけたか?」
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