ヘビロテ躁鬱女
「口答えするな! 鬼黄泉をなぜ、見習わないんだ! あんなに良い子なのに……なぜ姉のお前だけがこんなに出来が悪いんだ」


父の眼がどんどん赤みを帯びて釣りあがる。まるで般若のようだった。


「出来が悪いって……お金がないっていうから、バイトを始めたんじゃない。好きでこうなったんじゃない」


「……それはどういう意味だ? お父さんの稼ぎが悪いからだっていうのか?」


はっとし、思わず禁句を口走ったことに気づいた。怯えた眼で父をもう一度見ると、そこには真っ赤な顔をした鬼がいた。
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