ヘビロテ躁鬱女
――私は要らない人間なんだ。家族にも親友にも嫌われている。この世の中の全てに、きっと嫌われてしまうんだ。


タンスを開け、久しぶりに見たボストンバックを取り出した。適当に何日分かの洋服や下着を乱暴に詰め込む。


目の前が涙で霞み、自分が今何をしているのか分からなくなっていた。


ただ感じるのは、青痣の痛みと頬の熱だけだった。


私はこの世で要らない人間だけど、せめて鉄平だけは嫌いにならないで欲しい……私は本当に駄目人間なんだ。


でもこんな私を好きと言ってくれた人。最後にお願い……声を聞かせて……。


無意識に携帯を掴み、電話帳に登録してある武藤鉄平の名前で止まり、発信ボタンを押していた。
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